2011年11月20日日曜日

芝と放射線


   9月~10月にかけてのニュースだったのですが、秋田市内の何か所かの芝から、通常よりも高い放射線が検出されたということがありました。県外で生産された芝でした。通常は毎時0.022〜0.086マイクロシーベルトなのだそうですが、その通常時の上限よりも高かったそうです。

   写真のちょっとだけ芝が写っているのはそのうちの一ヶ所で、私の工房から歩いて数分の場所にあります。この場所の放射線の数値は、地上1センチで毎時0.112マイクロシーベルトとのことでした。通常よりも高いとは言っても、決して大騒ぎするような数値では無いように思えます。


   この場所の芝は、数値が発表されてからしばらくして、全部はがされました。しかも、立ち入りできないように、簡易な柵が設けられています。迅速な対処と言えばいいのか、あるいは過剰な反応と言えばいいのか、正直なところ判断に迷います。

   この場所のすぐ隣の建物には、国会議員の事務所があって、その議員は前の秋田県知事でした。こういう人が側にいると、市や県は素早く動くのだろうかと、そんな漠然としたことを思ったりします。他の箇所も同じような対応をしたようですし、そんなことはないのでしょうが、私の貧弱な想像力では、そんなことが頭に浮かんだりします。


   同じ場所から、角度を変えて撮った写真です。昔の城の外堀だったという池の向こうにあるのは高校の建物です。この高校のさらに向こう側に、私の工房はあります。写真を撮ったのは10月でしたので、色づき始めた木々も写っておりますね。


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  同じ頃、私の福島の友人からの便りには、子供たちのためにも近所の除染作業を行ったとありました。除染作業で集めた側溝の土砂などを入れた袋からは、毎時105マイクロシーベルトという数値の放射線が出ていたそうです。私の近所の芝の数値とは桁が違います。およそ1000倍と言っていいような高い数値です。

   この除染作業で集めた土砂は、行政では集めてくれないのだそうです。それどころか、集めると数値が高くなるから放置しろというような、行政側の対応なのだそうです。その頃のマスコミのニュースには、除染作業を進めるために汚染された土砂などの保管場所の確保ということが言われていましたが、実際のところ何も決まっていないような状況があったようです。

    国のレベルで除染を進めるという話をニュースで目にしていましたが、実際には除染のしようが無いというのが現状ですし、まだ原発からの汚染は続いているようです。また、一度除染しても汚染された物質は動くわけですから、きりがないとも言えそうです。マスコミの「除染」という単語が、ある意味たわごとであるという現実を、知っておかなければならないと思いました。

   私の工房の近所で、芝がはがされた話と比べると、同じ国の中なのにあまりの格差に考えさせられます。汚染の状況が広くひどすぎて、除染が追いつかない現実があるにしても、子供たちのことを思った身近で初期的な除染さえできないというのは、あまりにも関係機関の対応が遅いのではないかと思えます。福島県内であれば、原発近くに除染の土砂を集積するなどの、少しでも被曝を押さえるための対応が何故できないのか、不思議でなりません。

   秋田の芝の近くには、元県知事の国会議員の事務所がありましたが、東電の役員や多くの政治家やその家族が福島に住んでいたら、もっと早く話が進むのかもしれませんね。そんな、妄想とも言えそうな思いをもってしまうほど、現状は良くないように思えます。

   最近、朝日新聞の「プロメテウスの罠」という連載記事を読んでいるのですが、国の機関や役人・政治家の隠蔽体質や無責任な行動の見え隠れする記事を読むと、日本の危うさ・組織の危うさを感じますし、これからも期待を持てないのだろうと、そんな気持ちになってしまいます。

   食品などの汚染もこれからもっと広がりますし、様々なマイナスの影響はまだまだこれから出て来ることでしょう。記憶の風化を待つがごとくにのろのろと時間が過ぎていくのか、それとも対応が迅速になるような時がどこかで来るのか、残念ながら前者のような気がしてなりません。

   問題解決の停滞感を吹き飛ばすような、対策が急速に進む突破口が見える時が来ることを願っているのですが・・・。