2012年6月5日火曜日

スイヴェルナイフのブレードの回転性


   刃の中央部を薄く削った作りのブレードです。このように中を漉いたブレードに、小回りが効くという解説が付けられたカタログを、目にしたことがある記憶があるのですが、実際にはただ中を薄くしただけでは、回転性が良くなることは無いと思っています。画像のブレードは幅の広い製品ですので、そもそも高い小回り性を求められるような製品ではありません。

   では、何のための中漉きかというと、刃物では通常平面性の維持と刃の研ぎやすさのために、刃の中ほどが削られます。革包丁はもちろん、カンナやノミや出刃包丁なども、刃裏は中が削られていて、研ぎの時には必要なところだけが砥石にあたり、少ない労力で正確に平面に研ぎやすいようになっています。おそらく、スイヴェルナイフのブレードの中漉きも、基本的には同じような目的なのではないかと私は思っています。

   では、ブレードの回転性は、どこで決まるのでしょうか。一般的には、まずはブレードの幅ですね。幅が狭いブレードの方が、切っ先が回転軸に近くなり回しやすいので、細かい図案用には、幅の狭いブレードが販売されています。スイヴェルナイフ本体が細身だと、回転性はさらに良くなりますね。ブレードの厚みも関係するかもしれませんが、厚みは線の繊細さやボリューム感に対しての影響のほうが大きいような気がします。また、ブレードの厚みが薄くなると、細かいデザイン線の視認性が良くなるというのは、大きな利点です。

  他に回転性に影響するのはどこでしょうか。回転性には、実はブレードの側面の形状が大きく影響します。側面の形状はとても重要なのです。


   この画像を見るとわかると思いますが、側面を丸く加工してあります。丸く加工し角が無くなることで、小回り性能が良くなります。ただし、側面を丸くした場合には、線の幅が少し犠牲になる傾向があります。

   側面の幅や角があることによって、線に変化を付けることが可能になりますので、回転性が向上して小回りが効くようになっても、それが必ずしも表現のプラスになるとは限りません。線にメリハリを付けにくくなる面があるのです。画像のブレードでは側面全体を丸くしてありますが、角を少し丸くするだけでも、使用感や線の表現には、変化が現れると思います。

   側面の形状によって、カットした線の表情も変わりますから、用途や目的とする表現によって、刃の微妙な形状を検討してみるのも、おもしろいかもしれませんね。

   市販のブレードは何種類もありますが、中には、ブレードの側面が荒れている物もあるかもしれません。刃物ですから、側面の加工をしない通常の場合でも、ブレードを研ぐ時には側面の研磨も考えたほうが良いですね。

   スイヴェルナイフのブレードの、細かい形状についての記述を読んだことがないので、私の工具の記事の最終盤には、スイヴェルナイフのブレードの記事を選びました。今回を含めて3回書きます。